「お帰り。寒かったでしょ」

暖房の効いた暖かい部屋にいた梓が、俺たちを迎えてくれた。

玄関に飾られた小さなクリスマスツリーが、ぴかぴかと点灯を繰り返す。

俺は用意されたスリッパに足を通した。
不思議とスリッパまでも温かく感じる。

梓はヨシの頬を両手で包み「冷たいね」と笑う。

それからすぐに俺の前に移動し、俺にも同じことをした。

「翔も冷たーい」

触れられた頬が一気に熱くなる。

高鳴る胸の鼓動。
梓やヨシに聞こえてしまうんじゃないかと不安でたまらなくなった。

同時に、どうしようもなく梓を愛しいと思った。