ほんのりと残る、梓の香水の香り。

今日はデートなんだな。

デートの日とそうじゃない日で、梓は香水を分けている。

普段は柑橘系のさわやかな香りっつーのかな?
とにかく、さっぱりとした香水をつける。

デートの日は、甘ったるい、いかにも女の子ですって香りがする。

俺はこの香りがひどく嫌いだ。大嫌いだ。

鼻について仕方がない。


「今日はヨシとデート?」

集めた用紙を教卓に置き、くるりと方向転換をした梓に聞いてみる。

答えはわかってるんだけれど。

梓はほんのりと頬をピンク色に染め、嬉しそうにはにかんだ。