「エルフか」

「エルフはエナスケア大陸に住んでいる」

「魔導師は遠い昔にエルフから離れた種族なんだ」

 つぶやいたベリルにセルナクスが応え、マノサクスがそれに付け加える。

「なるほど」

 それで容姿が記憶にあるエルフに似ているのか。記憶している知識と、この世界のエルフが一致している事には驚きでもある。

「彼らが何をしたか、わたしには解らない。けれど、迷惑をかけたということは解ります。ごめんなさい」

 ミレアと呼ばれた魔導師は心痛な面持ちでベリルたちに頭を下げる。すると、他の魔導師たちがそれに泡を食ったように言葉をたたみかけてきた。

「ミレア様がお謝りになることはありません!」

「そうです。悪いのはリャシュカ族の者どもです」

「我々は仲間の酷い扱いに憤慨し、意見しただけです」

「あれで意見したとはよくも言う」

 ベリルの声に魔導師たちは振り返るも、表情のない目に黙り込む。