──朝、ベリルたちはコルコル族の集落に戻るため、大陸のへり近くに集まる。下を覗くと、強い風が轟音を響かせていた。
ベリルはふと、リュートに目をやる。
弱み、なるほど。推測ではあるが、風の種類によっては操れない場合があるのかもしれない。
「オレが運ぶ!」
「俺だ!」
聞こえてきた会話にベリルは目を丸くした。
どちらがベリルを運ぶかで、マノサクスとセルナクスは言い争っている。重たい人間を運びたがる意味がわからないとベリルは眉を寄せた。
「人気者じゃないか」
「勘弁して欲しいものだ」
困惑した様子のベリルにリュートは口の端を吊り上げ、これまで受けてきた数々の嫌がらせにまだ足りないとさらなるベリルの受難を願った。