私がいる世界では、幻獣や魔法が空想である事は自明の理だが、詳細に至るまで似通っている部分が多く見受けられるのは興味深い。
セルナクスは思案に暮れるベリルをじっと見下ろし、
「もっと近くで星を見たくはないか」
「うん? ──!?」
ベリルの返答も聞かず、セルナクスは出し抜けに横抱きに抱えて舞い上がる。ベリルはそれに驚きつつも、マノサクスよりもやや大きい翼を見やった。
セルナクスはベリルの抱き心地の良さに顔をほころばせ、そびえる城の頂よりもさらに上へと翼をはばたかせる。
「なあ、ベリル」
「なんだ」
「ここで暮らさないか?」
「面白い事を」
当惑するベリルにセルナクスは苦笑いを返し、本気だったんだけどなと腕の中の温もりを噛みしめた。