──ベリルは星空を仰ぎ、これまでの事を思い起こした。

 コルコル族の要望であるボナパスを倒す事に、私の力はさほど必要ではなかったように思われる。

 リュートの重い腰を上げる引鉄(ひきがね)として、私が必要だったなら多少は頷けはする。何せ、奴はティリスを中心に回っているのだから。

 それだけに、行動は遅くなる──それらを考慮しても、やはり私が呼び出された理由としては弱い。

 要石についてならば、私の存在は不可欠であっただろう。けれど、それではコルコル族には知り得なかった情報を元に私が呼び寄せられた事になる。

「複数の思考がまとめて叶えられているのか」

 (わら)にも(すが)る思いで実行された魔術が、予想以上の結果を()んだという事か。