「その、リャシュカ族とやらには会えないのか?」

 リュートは眉を寄せステムに質問した。

「ウェサシスカが今どこにいるのか解らないと無理ですよ」

 何せ、流れにまかせて移動していますからとレキナは答える。コースはほぼ同じなのだが、気候によって移動速度は変化する。

「速度やコースを変更する事は可能らしいのですが、よほどの事がない限りはやりません」

 シャノフは答えて肩を落とした。

「ティリスねえたん。遊んで!」

「うん。あっちで遊ぼう」

 子どもたちの乱入に会話を一時中断し、一同は休憩に入る。

「リュート」

 ティリスの元に向かおうとしたリュートはベリルに呼び止められ顔をしかめる。

「お前に用がある」

 あごでついてこいと示され、嫌々ながらも付いていく。

「あちこち破損しているそうだ」

 ベリルは家屋が集まる場所で立ち止まり、壊れている箇所を軽く手で示していった。コルコル族の人々は、大工道具を抱え期待の眼差しでベリルたちを見つめている。