彼ら魔術師は魔法使いと違い、儀式的な手順で魔法を発動させるため、準備する品物も多く詠唱も旋律的で長い。
魔法を発動させるには二人以上が必要な場合が多く、ソーサラーのように詠唱や手順を省略する事も出来ない。
旅をすることのない彼らならではの手法だ。しかし、それだけ厳正なものであるが故に強力で、ベリルたちは見事に召喚される事となった。
「マナを調べる必要がありそうだ」
「はい。それには、リャシュカ族の助けがいります」
ベリルの言葉にステムは頷いて応える。
天空大陸ウェサシスカに住む有翼人リャシュカ族は、最もマナの影響を受けている種族のためマナの変動には敏感だ。
「それなら、とっくに気付いているんじゃない?」
「ええ、ボクもそう思っています。もしかしたら、彼らが何か知っているかもしれません」
聞いていたティリスの問いかけにステムが小さく唸る。すでに気付いているなら、彼らが何かしらの対処をしているかもしれない。