「何故、解ったんだ」

 リュートの問いかけにベリルは空を示す。

「ようやく、少しだが大気が読めるようになった」

 天候を読む事は戦闘においても役に立つ。ベリルは特に、それらに長けている。

「それで?」

「詳細までは理解し得ないが、バランスが崩れている」

 かなり漠然とした感覚に確証は掴めていない。

「あんた──」

 どこまでこの世界に馴染んでいるんだと絶句した。

「どこに行っても暮らせそうだな」

「仕事柄、その努力はしている」

 そんなレベルの問題じゃないだろうとリュートは困惑の表情を浮かべた。

 要請を受けた場所が清潔な街なんてことはさほど無い。破壊された町であったり、砂漠地帯だったり、ジャングルや熱帯雨林だったり。

 様々な困難に見舞われることもよくあり、適切な対応が求められる。もちろんのこと、住民の救助それ以外の要請を受ける事もある。

 その中で、現在もほぼ百パーセントに近い成功率を保ち続けているベリルは驚異的といえるだろう。

「しばらくはゆっくりすると良い」

 そう言って夕飯の手伝いに向かう。

「リュート。行こう」

 笑顔のティリスに安堵するものの、心配事がまだ続くのかと溜息を吐き出し、リュートは彼女の背中を追った。