その隣には、入学式のあの人がいた。







このまま、薄れて行けばいいと思った。この感情も、自分がいなくなっても泣く人がいないように。

「……一人で、いく」


千鶴の言葉に、珠希は泣きそうに顔を歪めた。胸の奥でズキリと痛みが走る。

そんな顔をして欲しい訳じゃなくて、笑っていて欲しいのに。

上手く、彼女と距離が置けない。


「……あの、さっきはありがとうございました。一応、言っておきます。じゃ……」
「待って、千鶴くん……」


すれ違おうとしたら、腕を捕まれた。