「怜奈…。」

「ゆっ、勇チャン、あの…。」


…あたし、どうすればいんだろう。

きっと、きっとだけど、蘭サンは勇士が好きなんだ…。


怜奈サンは…蘭サンを応援したいか、それとも、ちゃんと筋を通すタイプなのか…。


「美希サン。」


おばあちゃんに呼ばれて肩がビクッとなる。


「はっ、はい。」


何言われるんだろう…。

もうここまで来たら、どんなことでも言いそうだな、このおばあちゃん…。


「今日のところは、帰ってくれんかね?」

「え…。」


帰ってって…えぇ?


「じっくり言って聞かせんたいじゃ。」


要するに、あたしが邪魔って事でしょ…?

でも…


「私にも、聞く権利くらいはあると思います。」


簡単になんか引き下がんないんだから…!!


「これは家の問題なんだよ、美希サン、申し訳無いねぇ…。」


本当に申し訳ないと思ってんの…?

あたし、このおばあちゃん嫌だ…。


「っ…。」


勇士…。

あたしの視線に気がついた勇士は、俯いて言った。


「…先に帰ってろ。」


崖から突き落とされたかのような気分だった。


「…分かった。」


勇士、勇士の気持ちが…見えないよ。