「美希…。」

「ゴメンナサイぃ~…。」


ねぇ、裕介、勇士、櫂、史也、千秋。


あたし、出逢いは覚えてるの。

同じ部屋なのも覚えてるの。


でもね、思いだせないの。


同じ部屋に決まってから、今日までを。


「謝ることなんてないよ!? ない…けど…。」


…ゴメン、皆。


「勇士が…戻って来たのに…。」

「…。」


勇士は、どこかに行ってたのかな…。

何にも覚えてないや…。


ゴメン、本当に、ゴメン…。


「えっ、じゃあさ、元哉と香奈のことは!? 美桜とか沙奈とか…。」

「…ゴメン、誰も分かんないや。」


きっとあたしが忘れちゃった記憶の中に、皆が存在してるんだ。


あたし、ちゃんと思い出すから。

思い出すからね…??


「ねぇ、美希。」

「何?」

「僕、先生の所に行って来るからね??」

「あ、うん、分かった…。」

「今連絡しちゃったから皆もうすぐ来ると思うけど…。」

「うん、大丈夫っ。」

「無理しないで、ね??」

「もっちろん!!」


全然覚えてないけど…櫂はあたしのこと、よく覚えてくれてるんだなぁ…。


「行ってらっしゃい。」

「み、美希っ…。」


櫂はあたしをギューッと抱き締めてから、出て行った。