「懐かしいねぇ。」

しみじみとした表情で洋太郎が笑った。

ふと窓の外を覗くとこれまた懐かしいものを見つけて、思わず声をだした。

「おい見ろよ!俺らの学校じゃね?」

「あ~!ほんとだ!」

おんぼろだったはずの高校はいつの間にか、コンクリートで固められていて、薄汚れた外壁の色は綺麗に塗りなおされている。

気を利かせた洋太郎は車を正門近くに停めて言った。

「ちょっと行ってみようぜ!」

「先生いてはるかな~。」

真っ先に車から降りた洋太郎と夏芽のを見送った俺は、ぐいっと背伸びをした。思ったより冷たい風が俺を包む。


真っ白な飛行機雲が、真っ直ぐ、真っ直ぐ伸びていた。