「人間? それはどういうことですか?」


バドはラシードの真意を掴むように、魅惑的な瞳を見つめた。


ラシードは頬を緩め、嬉しそうに言った。



「人間……とはいっても僕たちがよく知る人物だ。

いずれ魔界の王になるべきお方……」


「ヴラド様ですか?」


「いや、兄の息子……レオだ」



バドは大きく目を開き、今何も映していない鏡をじっと見つめた。



「成人するまで待たないといけないと思っていたが、これ程早く力が目覚めるとは……

それにしても凄い力だった。このままいけば後数年……いや一年後には完全に覚醒するかもしれない」



「なんと……」


バドは驚き、何も映さない鏡を見て残念に思った。


ヴラドとシャオンの子供がどんな風に育ったのかこの目で見たかったからである。