駅に着いてユウの車を探すともう着いていた。

助手席の窓から覗き込みユウが私に気付くのを確認してから乗り込む。
「今日は忙しかった?」なんてぎこちないながらも会話をするがすぐ無言になり、お互いが言葉を切り出すのをまっているとマンションに着いた。
ユウも何も言ってこないし私も何を言えば良いかもわからない。
部屋着に着替えながらいつも通りテレビを眺める。

「ユウ。別れよ…」
「俺もそれが良いと思う。嫌いになった訳じゃないけど恋愛としての好きじゃないっていうのは最近思ってた。」
「何となく気付いてた。」
「うん。ゴメンな。」
「ウチこんなに人を好きになったん初めてやったわ。」
ティッシュで涙を押さえながら言う。
「ハルコは若いから、これからもっと良い恋愛出来るよ。」
「当たり前やん。」
必死に笑顔を作る。


それからはお互い全く触れ合わない事以外はいつも通りに夜を過ごした。
相変わらず同じベッドに潜り込み静かに話しかける。
「ユウ起きてる?」
「うん。」
「明日も玄関まで送るから朝起こしてな。」
「ありがとう。」
「ユウ」
「ん?」
「最後やし手つないで良い?」
「いいよ。」
「ユウ」
「ん?」
「ユウにウチはもったいない!」
予想外の返答に笑いながら「そうかもな」と返すユウがやっぱり私は大好きだった。