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「それで・・・今でも私の腕には、姉に灰皿を叩きつけられた後があるんです」


私達しかいない保健室は、ただ、寂しく夕暮れに染まっていった。



「そして、一時期・・・学校にいかなかった日もありました」
「・・・今でも、その姉は沙弥に暴力を振ったり・・・するのか?」


「・・・・いいえ。お姉ちゃんは今・・部屋から出てこないんです・・2年前からずっと」

私にとっては、喜ばしいことなのかもしれないけど

姉の気持ちを考えると
何かあったから、苦しいことがあったから

学校をいかなかった頃の私のように、閉じこもっているのだと思う・・・。



はぁ・・・とため息をまた、ひとつ。


何歳になっても私の"ため息ちゃん"はいなくなってくれない。



「・・・・そうだったんだな・・」

聖夜さんが深刻そうな顔でこっちを見る。
同情する顔ではなかった。


「悪いな・・・嫌なこと思い出させちまって」

「いえ、いいんですっ。過去は過去ですから」


「・・・・なんか辛い事とか、悲しいことがあったら、オレに言えよ。相談乗るから」

「ありがとうございます・・・」



そして私たちは、保健室を出た。



外に行ってみれば、圭斗さんと千佐登が待ってくれていた。