「ひなのが、妊娠した」

真理子が、お母さんに言い放つ。


「それで?」

「……産まない」

「壱輝は?」

「…俺は、俺達の餓鬼を殺すことなんか出来ない………、産むのはひなのだけど、餓鬼の親父は俺だから……」

「………」

「私は、産めない」


決意は、固かった。
赤ちゃん、ごめんね。

本当にごめんなさい…


「あんたは、まだわかってない…、おろすってことが」

「わかってる!」

「わかってない」


冷たく呟くと、お母さんは立ち上がった。