ギュッと下唇を噛み、口を開いた。
「すいません…でも…っ!」
パンッ…
その時、鈍い痛みが頬を走った。
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
分かったのは、頬の鈍い痛みだけ。
「言い訳なんかいらないわ。
早く部屋に行きなさい。夕食は抜きよ」
そう言って、叔母さんはフイとあたしに背中を向けて行ってしまった。
ガチャ…
「…っく…」
部屋に入った瞬間、また涙が溢れた。
あたしの頬は赤く腫れて、ズキズキと痛み出した。
「もう、やだ…よお…」
分かってるよ。
仕方ないって分かってる。
でもあたしは、両親の死を受け止める…
この現実を受け入れる強さなんて持っていない。
あたしはただ、ひたすら涙を流す事しか出来なかった。