「そっか」
男の子はもう一度ニコリと笑い、「隣、いい?」とベンチを指差した。
あたしは頷き、少し横に移動した。
「ありがと」
そう言って、男の子はあたしの隣に座った。
「俺ね、何かあった時はいつもここに来てるんだ。
で、空を見上げる。
こんなに大きな空を見上げたらさ、
今の自分の悩みなんて、すごくちっぽけな物に思えるんだ」
男の子はそう言って、空を見上げた。
あたしも、それを見て同じように空を見上げる。
「例えどんなに離れても、こうして空はずっと繋がっているんだよ」
ふと、お父さんとお母さんを思い出した。
ねえ、この空のどこかに…2人も、いる?
あたしはそう信じて…空を見上げても、いいよね?