***


叔母さんの家に移る日。
あたしは一人、ある場所を訪れた。


……そこは、ある公園にある桜の木の下。



あたしは何かあると、いつもこの場所に来る。
なんだかすごく、落ち着ける場所。



ベンチに座って、空を見上げた。





「はあ…」



「…ねえ、どうしたの?」





その時、後ろから声が聞こえてあたしは振り向いた。
いきなり話しかけて来たのは、一人の男の子だった。


あたしは不思議に思いながらも、返事をした。





「……別に、何も」



「そう…?

ねえ、君、何回かここ来てるよね?」





え…?
あたしはぱっと顔を上げた。

その男の子はニコリと笑った。





「俺、中村竜って言うんだ。
君は?」



「あたしは…坂田響、です」