「ねぇ響ちゃん?
もう、話してもいいわよね…?」
その時、やわらかい風が吹いた。
「『良いよ』って言ってるみたいね?」
お祖母さんはニコリと笑った。
よく見ると、笑顔がすごく響と似ている気がする。
「響には…何があったんですか?
…教えてください。
俺は、響の彼氏なんです」
俺の目を見て、お祖母さんはそっと目を閉じた。
「……響ちゃんはね、小さい頃からすごくいい子だったの。
明るくて、元気で、優しくて。
だけどある日、響ちゃんの運命は変わってしまったのよ…
それは、響ちゃんの高校の入学式の日だったわ」
お祖母さんは思い出すように、目を閉じたまま話し続けた。
その顔は、なぜかとても辛そうだった。