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俺は、響のお墓の前に来た。
思えば、初めて来たのかもしれないな…
「響、俺…やっとここまで来れたよ」
俺は響のお墓に手を合わせ、薔薇の花を1本置いた。
あの日と同じ、薔薇の花を――…
「あの、どなたですか?」
「え…?」
俺が振り返ると、目の前には1人のお婆さんが立っていた。
「俺は…
……響の彼氏です」
「そう、響ちゃんには…こんなに素敵な人がいたのね」
「あの…あなたは?」
「私は、響ちゃんのお祖母ちゃんよ」
響の…お祖母ちゃん!?
「あの…響に家族はいないはずじゃ…?」
「…あなたはそう聞いていたのね」
そう言ってお祖母さんは、響のお墓の前にしゃがんだ。