その時、今まで黙っていた魁が、ゆっくり口を開いた。





「……俺は違うと思うな」



「え…?」



「だって竜が響ちゃんと出逢わなければ、今ここにいる“竜”はいないでしょ?

今の自分があるって言うことは、例えどんな事があったとしても…その人に出逢えたからこその事なんだよ?




だからさ、もし俺が竜と同じ状況だったら…俺は出逢った事に後悔なんかしない。

出逢えた事に、感謝したい。
だから俺が竜の立場だったら、響ちゃんに言いたい言葉は…




『出逢ってくれてありがとう』って言葉だよ。

きっと響ちゃんも、こんな想いを込めて…最後の最後に、竜に『ありがとう』『あいしてる』って伝えたんじゃないのかな?」