俺は医者からの電話で、この話を聞いた。
そして今。
“このままでは危険だ”という理由で、響は酸素マスクをつけて眠っている。
だけど本当は分かってる。
もう…無理なのかもしれないって事。
「今日は、由希も来てくれてたな」
響はもう話せないのに……
まだあの笑顔で『竜』って呼んでくれる気がして。
俺は今日も、こうして話しかける。
「響、元気か?
今日は誕生日おめでとう」
返事は、返って来ない。
聞こえるのは、響の命を繋ぎ止めている機械の音だけ。
「響…?
響は……俺と過ごした時間、幸せだった?
俺はすごく、幸せだったよ。
一緒に笑って、泣いた時間は……俺にとってすごく大切な時間だった」