5月19日。
「…あ、竜くん?」
「おう、由希。久しぶりだな」
病院に来て響の病室の前に着いた時、ちょうど中から出て来た由希と会った。
「……来て、くれたんだ」
俺がそう言うと、由希は少し笑って答えた。
「うん、だって今日は…」
今日は、響の18回目の誕生日だから。
響が大好きな、薔薇の花束を持って。
ガチャッ…
「響、おはよう。
……18回目の誕生日、おめでとう」
そう言って、花束を棚の上にそっと置いた。
響からの返事は、返って来ない。
まだ慣れる事の出来ない、この感覚。
響は面会禁止になったあの日…容体が急変した、という。
そしてそのまま、意識が戻っていない状態。