「……っ響…!」
響の言葉に、俺はパッと顔を上げた。
そんな俺に向かって、響は眩しいくらいの笑顔で言ったんだ。
「竜……ほら、笑ってよ」
俺は心の中が読まれた気がして、ドキンとした。
響の方が辛いはずなのに、俺が響に慰められるなんて……
「そー…だよな…」
俺が響にしてやれる事なんて…ほんの少ししかないんだから。
響の側にいてやる事。
―――笑顔でいる事。
強くならなきゃいけないのは…俺の方なのにね。
響を支えなきゃいけないのは…俺の方なのにね。
「響……
遅くなってごめんな?
部屋戻るかっ!」
だから俺も、笑顔でそう言ってぎゅっと響の手を握った。