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『響には……
俺しかいないのに――――』
病室で荷物を片付け終わった後。
竜がなかなか帰って来なかったから、あたしは病室を出て竜を迎えに行くつもりだった。
……竜はすぐに見つかった。
その時つぶやいていたのは、この言葉。
あたしはそのまま、竜に声をかけずに部屋に戻った。
……竜。
「―――…ごめ、ん…ごめん…っ!」
そうつぶやいた時。
シーツに一筋の涙が落ちた。
辛いのは…あたしだけじゃないんだよね。
あたしは“残す人”
竜は“残される人”
あたしは多分―――…
残される人の方が、辛いと思うよ。
だってあたしも、全く同じだったから。
大切な人を亡くして、ずっと1人だったから。