「じゃあ約束!指切りしよ?」
響は笑って、俺に向かってそっと手を伸ばした。
俺はその手を握り返して、響の小指と自分の小指を絡めた。
「……ああ、約束」
俺がこの“約束”の意味を知ったのは……
ずっとずっと先の事。
俺がこの“約束”を叶えられるのも……
ずっとずっと――――先の事だった。
ねえ、響…?
この時俺が、少しでも君の変化に気付いていたなら。
少しでも君の笑顔の不自然さに気付いていたなら。
もう少しだけでもいいから、俺は君の側にいられたのかな?
もう少しだけでも良かったから…
君の側にいたかった。
ねえ…響?