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「竜っ!早く早く!!」
「ちょ…そんなに走んなよ!
危ないって!!」
あれから3日。
俺達は2人で、近くの海に来ていた。
「……やっぱりまだ風が冷たいね」
砂の上に座り込んで、響はそうつぶやいた。
「夏になってさ、また来ればいいじゃん」
「“夏”か…
……そうだよね。
その時はまた、竜が連れて来てくれる?」
「当たり前だろ。約束する」
「―――…ありがとう」
何となくだけど、
その時の響の笑顔は、俺には何だかとても悲しそうに見えて。
今思うと…響はもう気付いていたんだと思う。
自分の“命”の……儚さに。