「ダメだよ、竜」
「……え?」
俺の手に、響の手が触れる。
温かい、だけど小さな手……
響はそっと目を閉じて、俺の手をギュッと握った。
「……あたしは病気なんだよ?
いずれは死んじゃうんだ…竜を残して。
……そんなのあたしは耐えられない…!!
竜には、ずっとずっと笑っていて欲しい。
竜の笑顔…大好きだから……
あたしは竜の笑った顔が、一番好きだから」
そして、今度は俺に笑顔を見せた。
ねえ…
君は何でそんなに優しいの?
君はいつも―――…
俺の事を一番に考えてくれるんだね。
俺の頬をまた、涙が伝った。
「……え…竜…?」
響は驚いたような顔をして、そっと手を伸ばし……
ハンカチで、俺の涙を拭った。