「何で竜がここに…」
竜は息を整えながら、あたしを見てニコッと笑った。
「やっぱり、ここにいたんだ」
「ここにいると思った」とつぶやきながら、竜は一歩ずつあたしに近づいて来た。
「何で…何で竜がここにいるのっ…!?」
「…響を探しに来たんだ」
「……あたしはっ!
もう二度と会いに来ないでって言ったでしょ!?」
竜はそのままあたしに近づき、ギュッと強く抱きしめてきた。
「……やめて!離してよっ…
あたしは竜の事なんて好きじゃないっ…!!
離してよ…っ!」
「……もういいんだよ!!!」
その瞬間、あたしの動きが止まった。
竜のこんな声を、あたしは初めて聞いたから。
あたしが顔を上げると、竜はもう一度笑った。
「もう…いいから。
由希から、全部聞いたんだ」