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「……竜、もう別れよう」
ひらひらと花びらの舞う桜の木の下。
俺に背を向けたまま、
響はそう言った。
突然の出来事に、俺は耳を疑った。
「ちょっ…ちょっと待てよ!!
いきなり何でっ…」
「…いきなりじゃない。
ずっと前から…考えてたの」
「そんな…!」
俺は響に近づこうと、一歩踏み出した。
「…っ来ないで」
だけど響は、小さくこうつぶやいた。
「……来ないで…お願い…」
そして気付いた。
響の声が、肩が…震えていることに。
俺はもう一度、響に問いかけた。
「…何で?
何で、いきなり別れるなんて…」
俺の言葉を聞いて、響はやっと俺の方を向き直した。
そして悲しそうな、寂しそうな表情のままつぶやいた。