その日の昼休み。

「ねぇ、雪村さん。君って女の子からモテるんだね。」

「ソレっていやみ?」

私たちが昼食をとっているのは、教室。

けっこう冴木はイケメン顔だから、この日は冴木を一目見ようと人だかりができている。

ちなみに、それには私も入っている。

だって『優華様』って呼ばれてるし…。

イケメン2人組みだってさ。

私はどちらかって言うとウザく感じるけど。

『きゃー、冴木君~!こっち向いて~!』『優華様~!』

さっきっからギャーギャーうるさいなぁ。

落ち着いて昼食が食えやしない。

ストレスも限界に近い。

朝からこんなこと起こってるし。

「あんたらさぁ、昼食の邪魔なんだけど。」

ちょっとにらんでそう言ってやった。

が、逆効果だった。

女子共の騒ぎ声が一層高まった。もうダメだ。

私はあきらめることにした。

「…さん。…村さん。雪村さん!」

「ふぇ?」

私を呼んでいたのは冴木だった。

そーいや冴木はこのキャラ通すんだっけ。

てか、今日は1日がたつのが早いと思う。

さっきまで朝だったのに、いつの間にか放課後だし。

「僕、遼の場所知らないから一緒に来てくれる?203号室なんだけど。」

遼って聞いて驚いた?あ、そうでもない?私の学校、聖火学園は全寮制で、授業が終わったら、自分の部屋に帰るの。(って当たり前か)

でも、203号室?あれ、私の遼は202号室。私の部屋の、と、な、り…?

「へぇ、僕の部屋の隣だったんだ。」

えっ、心の中で言ったつもりだったのに。

疑問を抱いていると、冴木のささやき声が耳元聞こえた。

「なら、いつでも襲いにいけるね♪」

冴木の吐息が耳にかかる。

「ひゃぁ!」

「へぇ、雪村さんって耳、感じやすいんだぁ。」

おい、こんなところで『裏』見せちゃっていいのか?

そう思い、口を開こうとした瞬間、右手をギュっとつかまれた。