ひ、ひとまず逃げなきゃ。

そう思い思いっきり走った。が、左腕をつかまれた。

「逃げちゃうの?俺と遊ぼうよ。」

そういうと私を壁に押し付けた。ダンっ、という音が響く。

「や、やめ、ン…ふぁ。」

なんつー声出してんだ私。

つーか、唇に感じるこの温もりは一体…。

私の思考回路にある答えが出た。キスされてる…。

そう考えているうちに、口を割ろうと何かが当たってる。

「ンン!!ンンン!!!」

声を発しているつもりだけど、変な声しか出ない。

抵抗をしてみるけど、びくともしない。

そしてとうとう、口を割って生温かいものが入ってきた。

「ンンンン!!!!ンァ…。」

生温かいソレは私の舌に絡めついてきた。

私の舌も必死に抵抗するが、生温かいソレは離してくれない。

てか、これこいつの舌!?

やばい…。酸欠で頭フラフラしてきた…。

飛びそうな意識を必死で繋ぎ止める。口の中がクチャクチャと音を立てる。

「ンン…。ぷはっ。」

やっと唇が離れた。

「今はこれぐらいにしとくよ♪」

そう言って男子生徒は怪しい笑顔を浮かべ屋上から出て行った。

私はというと、酸欠で床にへたり込みまだ温もりの残る唇を触っていた。

「一体、今のは何だったの?」

呆然とする私は、まだこのあとにおこることを知るよしもなかった。