「優華様がきたわぁ!!!」

…またか。

 私、雪村優華。16歳。私立聖火学園高校1年生。

成績優秀。スタイル抜群。ストレートな黒髪をショートにしてる。

こんなにいい条件がそろっているなら。男子にもてても仕方ない。

なんていうのはウソ。私は、女子にはモテるけど男子からはまったくモテないの。どうしてかって?それはね…。

 「うっさい!そんなにつきまとうな!うざったい。」

そう、性格がまさに男。そんな私につけられたあだ名は

「男女。」

…!この声!

「結城!」

「うっせーんだよ、男女。」

この男、結城真樹。私の元カレ。性格の不一致で、わずか一週間足らずで別れた。

「ははーん。さては私がモテるのをひがんでんだろ。情けな。さっさと死ね。」

「お前こそ消えろ男女。」

ぷちん!…いやいやここでキレたら私が子供だ。

「そんなとこで突っ立ってないで、さっさと教室行けば?」

こんなことを言ったせいか、また「優華様カッコイー!」とか聞こえてくる。

何か言ったところで無駄だ。私もさっさと教室へ行こう。

が、しかし。教室に入ったとたん、女子の群集に飲み込まれた。

しまった。こんなことは想定できたはずなのに…。

仕方ない、ひとまず屋上へ避難だ。

女子の合間をぬって私は屋上へと行った。

ギィ…。

ドアが変な音をきしませる。

ん…。あそこに人がいる。

太陽の逆行のせいで顔は見えない。

制服からかろうじて男子ということがわかる。

でも、うちの制服じゃない…。転校生?

「…ん。気持ちよく寝てたのに、いったいだ…。」

男子生徒は私の顔を見るなり固まった。な、なによ。

「へぇ…。君かわいいね。」

少しずつ男子生徒は近づいてくる。

近くで見るとそれなりにカッコイイ顔立ちだ。そし

て私の目の前に来ると、

「襲っちゃおっかな?」

そういって男子生徒は、私の髪の毛に触れた。
って、おい!お前何する!

「触んな!」

そういって彼の手をはたいた。

「へぇ、けっこうキツいねぇ。でもオレ、そういうの嫌いじゃないぜ?」

な、何こいつ。頭イカれてんじゃないの?