歳を重ねるごとに
罪を重ね
幾重にも重なる手足の枷
その重みから逃れようと
捕らえられた手足を
バタつかせ
その重みから逃れようと
またひとつ罪を重ねる
桜の頃に
あなたを想う
蘇るのは
あの日の2人
桜色した淡い記憶
散り際の淋しさや
踏みにじられた惨めさは
流し続けた涙が
ぬぐい去り
まぶたの裏に焼き付いた
あの満開の桜だけが
私を捉えて離さない
ガードレールに腰掛けて
2人見上げた
満開の桜
桜色した優しい時間
きっと
幼すぎたんだね
あなたの弱さを
受け入れられず
あなたの過ちを
責めたてた
今ならもっと
上手にやれる
もう一度
あなたと2人…
桜の頃に
あなたを想う
叶わぬ想いを胸に
桜を見上げる
桜色の記憶に
涙がこぼれ落ちないように
ずっとずっと
忘れていた
こんな優しさが
あるってことを
あなたに拒まれて
忘れていた優しさに
気がついた
欲しかったのは
そう…
私を受け入れる
暖かい腕でなく
背中を押してくれる
力強い手のひら
だめだよ
そう窘めた
あなたの優しさが
私の心に突き刺さる
涙となって溢れ出すのは
こらえていた想い
涙がとまる頃には
今よりたぶん
優しくなれる
他人行儀な
あなたの言葉
傷ついたりしない
だってあなたと私
最初からずっと
他人だから
他人行儀な
あなたの眼差し
目を反らしたりしない
だってあなたの瞳
今初めて
あたしを見てる
他人行儀な
あなたの態度
泣いたりなんかしない
だってあなたと私
明日からもずっと
他人だから
あの頃の
夢をみた
あの頃の
ふたりの
夢をみた
あの頃の
笑顔の
ふたりの
夢をみた
目覚めたとき
現実が
霞んで見えたのは
きっと
知らぬ間に流れた
涙のせい
あなたを蝕む
月になりたい
ほんのひと時の
逢瀬でも
光のない世界でも
あなたを蝕む
月になりたい
あなたの身体と
私の身体
重なり合う
その瞬間は
つかの間の夢
あなたを蝕む
月になりたい
あなたの光は
私のもの
一瞬でもいい
この腕に
あなたを捕らえ
その光を
その愛を貪る
月になりたい
咲き誇る椛は
つかの間の愛
昼夜の温度差が
その葉を美しく
色づかせるように
あなたの気まぐれが
私の心を
紅く燃やす
散りゆく椛は
すがりつく愛
遠ざかるあなたへと
伸ばした両手
あなたの心を
捕らえようと
広げた手のひらは
冷たい風に舞い散る
落葉のよう
掴まる枝をなくした
小さな葉っぱ
掴まる腕をなくした
小さな手
すがっても
届かない
あなたを求める
あなたを憎むことで
幸せな時の記憶に
鍵をかけた
あなたを憎むことで
消えゆく記憶の中のあなたの顔を
胸に深く刻み込んだ
あなたを憎むことで
あなたを憎み続けることで
記憶の中でだけ生きるあなたと
ずっと繋がり続ける
あなたを憎むことで
あなたを恋しく想う
あなたを憎むことで記憶の中のあなたは
あたしの中で
今もずっと
生き続ける