音のない部屋の中
静かに聞こえる
あなたの寝息
まるで遠くに聞こえる
波音のよう
優しく穏やかな
あなたの呼吸
包まれた腕の中
あなたの寝息に
私の呼吸を重ねてみる
静かに流れる
あなたとの時
やっと2人
ひとつになれた気がした
「何が食べたい?」
私の問い掛けに
あなたの答えは
いつも同じ
「ハンバーグ」
「子供みたい」
笑う私を見て
ふてくされるのも
いつも同じ
「仕方ないだろ
好きなんだから」
あれから4年
「何が食べたい?」
そう問い掛けても
答えるあなたは
もうここにはいない
あなたの好きだった
ハンバーグ
あなたを思いながら作る
ハンバーグ
ひき肉と
パン粉と
タマネギのみじん切り
涙がこぼれるのは
きっとそう
タマネギのせい
都合がいいのは
お互い様
束縛しない関係
それが私たちのルール
調子がいいのは
お互い様
上っ面な愛の言葉
それが私たちの軽薄な恋
気まぐれなのは
お互い様
ジラし合いのメール
それが私たちの
恋のかけひき
淋しがりなのは
お互い様
孤独からの回避
それが私たちの繋がり
素直じゃないのは
お互い様?
明かさぬ本心
強がりだらけの
冷めた言葉
それが私たちの
大きな失敗
目を閉じれば
あなたの声が聞こえた
饒舌ではないけど
静かに流れていた
あなたの言葉
目を閉じれば
あなたの姿が見えた
会えない日が続いても
消えることない
あなたの笑顔
少しずつ
少しずつ
あなたとの距離が
離れて行く
少しずつ
少しずつ
あなたの声が
遠ざかって行く
少しずつ
少しずつ
あなたの姿が
曖昧になって行く
微かに聞こえる
あなたの声に
ただ耳をすまし
ぼんやりと見える
あなたの姿に
必死で目を凝らす
お願い
消えないで
お願い
あたしを
ひとりにしないで
気まぐれでもいい
かまってほしい
だけど
素直になれなくて
気まぐれでもいい
声を聞かせて
だけど
素直になれなくて
気まぐれでもいい
キスしてほしい
だけど
素直になれなくて
気まぐれなんて
ホントはイヤ
毎日
毎日
ずっと
ずっと
もっと
もっと
抱き締めてほしい
だけど
素直になれなくて
閉じ込めた想いを抱いて
今夜もひとり
枕を抱く
会いたいよ
たった一言が言えなくて
今すぐ会いたいよ
わがままを言ったら
この関係は終わるから
会いたいよ
心はこんなにも
叫んでいるのに
会いたいよ
口に出せない
心の叫び
会いたい
会いたい
会いたい
あなたに今すぐ
会いたい
ねぇ
あたしを玩具にしてよ
24時間じゃなくていい
たまに愛してくれれば
あたしは幸せ
新しい玩具に
心を奪われても
思い出してくれれば
あたしは幸せ
だけど
ねぇ
玩具箱のスミは
暗くて恐い
だから
ねぇ
たまにはあたしを
思い出して
雪のように
降り積もる
悲しみも
北風のように
吹き荒れる
怒りの感情も
冬の空気のように
冷たく乾いた
あの人との関係も
きっと
その温もりが
変えてくれるから
きっと
その優しさで
包んでくれるから
だから
あたしは
春を待つ
冷たい雪の下で
静かに眠る
春待草
両手を握り締めて
ただ黙って立ちすくむ
その手のひらに
握り締めたのは怒り
全身から溢れだしそうな
暗く歪んだ私の恋心
両手を握り締めて
ただ黙って宙を見上げる
その手のひらに
握り締めたのは悲しみ
瞳から溢れ出しそうな
冷たく静かな私の恋心
両手を握り締めて
ただあなたを想う
その手のひらに
握り締めたのは
あなたへの想い
口元から溢れ出しそうな
わがままで
饒舌な私の恋心
握り締めた手のひら
気を緩めたら
想いが溢れ出すから
握り締めた手のひら
ぎゅっともっと
強く強く…
あなたへの恋心が
指の隙間から
溢れ出てしまわぬように