「シロ。」
名前をよばれて、僕は顔を上げる。
しんちゃんが、笑っていた。
まだまだナミダでいっぱいの顔で、
それでも笑っていた。
「シロ、くすぐったいぞ。
そんなにオラの涙ばっか舐めてたら、
しょっぱい綿飴になるぞ。
しょっぱいシロなんて、
美味しそうじゃないから。
だからシロ、オラ、待ってるから。
今度はオラが待ってるから。」
しんちゃん。
「だから、もう一度、
美味しそうな綿飴になって。
そんでもって、戻ってくるんだぞ。」
だいすき。
ぼくはしんちゃんに抱きしめられながら、
さいごの夢を見る。
もういちど、わたあめになる夢を。
もういちど、おさとうになって、
とかされて。
くるくるまわって、
あまい、あまいわたあめになる。
目ざめたときに、だれよりも、
君がおいしそうだって言ってくれるわたあめになるために。
ふわふわのわたあめ。
さくらいろの、あったかなわたあめ。
君が大好きだっていうキモチをこめた、
君だけのわたあめ。
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