かしゃん、という、なにかがたおれる音がして、僕は目を開けた。



電灯がぽつりぽつりとついた、
暗い道の真ん中で、
見なれた自転車が横になっている。



のろのろと首を上げると、
しんちゃんの前髪が顔に当たった。


道のはじっこのカベに、もたれかかるようにしてしゃがみ込むしんちゃん。



その体はひっきりなしにふるえていて、
とても寒そうだった。



僕を抱きしめたまま、
動こうとしないしんちゃん。


しんちゃんに抱きしめられたまま、
動くことができない僕。



ああだれか僕の代わりに、
しんちゃんを抱きしめてあげて。



「ごめんな、ごめんなシロ。
オラ、何にも出来なかった。」


ぽつりぽつりと、
しんちゃんが話しかけてくれる。



「いっぱい病院回ったんだ、
でも、どこも空いて無くて。
空いてるトコもあったんだけど、
大抵シロを一目見ただけで…何も。
あいつらきっとおばかなんだぞ。
おばかだから、何にも出来ないんだ。」



しんちゃん、泣いてるの?
ねえ、泣かないで。



「でも、ホントにおばかなのは
……オラだ。」



しんちゃんなかないで。


「オラっ……シロがこんなになってるの、
気付かなくて…!!
ずっと、一緒にいたのに…親友だって
……思ってたのに、なのに!!!」


なかないで、もういいから。



「シロっ…………。」


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