また朝がきた。
でも、その日はいつもと違っていて。
しんちゃんのお母さんが、
僕を車に乗せてくれた。
しんちゃんのお母さんの顔は、
気のせいか苦しそうだった。
車はまっ白なお家の前で止まって、
僕は抱きしめられたまま下ろされる。
そして一回り大きなふくろの中につめられた。
まっくらだ。どうしようか。
昔なら、びっくりしてあばれてしまったかもしれない。
でも今は、そんな力も出ない。
とりあえず丸くなると、
体がゆらゆらとゆれた。
それがしばらく続き、次にゆれが収まって、
足もとがひんやりとしてくる。
いきなり辺りがまぶしくなった。
目をぱしぱしさせていると、
変なツンとした匂いがする手につかまれ、
持ち上げられる。
いっしゅんだけ体が宙に浮いて、
すぐに冷たい台の上に下ろされた。
まっ白い服を着た人が、
目の前に立っている。
そばには、しんちゃんのお母さん。
二人が何かを話している。白い人が、
僕の体をべたべた触る。
しんちゃんのお母さんが、泣いている。
どうして泣いているのか解らないけれど、
なぐさめなくちゃ。
でも、体が動かない。
またあの眠気がおそってくる。
起きていなきゃいけないのに。
なんとか目を開けようとしたけれど、
ひどく疲れていて。
閉じていく瞳を冷たい台に向ければ、
そこに映るのはうすよごれた毛のかたまり。
なんて、みすぼらしくなってしまったんだろう。
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