重い空気が車を包みこんでいた 
あたしはその空気に負けないよ 
うに煙草を吸って気持ちを

落ち着かせた。不思議な男に

話しかけた。

「…なんでここってわか
ったの?なんできたの?」

「はあ?お前が電話してきて
様子おかしかったから探し
に来てただよ。馬鹿か」

ああ、そっか。手当たり次第に 
携帯押したから不思議な男に

かかちゃってたんだ。

弁解するのもめんどくさくて

ああそうだったとあしらった。 
「なあ?そういえばお前の
名前と年聞いてなかった」

「…はるか。16歳」

その瞬間男は目を見開いた。

「…はっあ?お前16?
てっきり19かと思ってた」

「悪かったねガキで」

「いや違うんだよ。こんな
見た目わりい男に怯えも
しねえでぶつかってくっ
からよ。16だっとはな(笑)」

「怯えるもなにも怖いもの
なんかねーから、あたし」

「さっき怯えてただろ?」

あの時あたしは怯えてた
 
震えが止まらない今でも

平然を装っていたのに

この男は気づいてた。