「…。散歩」
それしか言う言葉が見つから
なかったから。
「…女一人で危ねーだろがよ」
関係ないぢゃん。本当にそう
思った。初めて会った人間に
同情されたくない。ただそう
思ってしまった。
「…ただの散歩。いつもの
ことだから。ぢゃ行くね」
「ちょっと待て!こんな夜中に
いつも一人で散歩してんの?」
「…だったらなに」
苛ついた。指図されたくなか
った。
「…俺の番号。なんかあった
らさ、すぐ電話してこい!」
「…わかった。ぢゃ行くわ」
なにも言わずに男は車を走ら
せて行った。名前もわからない
あたしになぜ番号を教えたのか
不思議だった。相手もあたしの
名前知らないし。
番号だけ登録した不思議な男
って名前で登録した。