どうしても、この同時多発した事件が気になる。

昼休みを利用して、私は風紀委員本部に行って調べ物をする事にした。

…この学園に限らず、天空宮市という都市は不思議な場所だ。

魔法が飛び交い、少し山岳部に行けば魔物が我が物顔で闊歩しているというのに、市街地には魔法機関を利用した車や路面電車が走り、高層建築物の壁面には巨大液晶でCMが流されている。

古来からの魔法文化と現代科学の結晶が同居し、人間とエルフ、ドワーフ、獣人や人魚が当たり前のように共存する。

それがこの天空宮という都市なのだ。

…そんな都市に存在する天空宮学園なので、授業で当然のように魔法を教えているかと思えば、風紀委員本部にはパソコンが設備の一部として置いてあり、風紀委員なら自由にデータベースを閲覧できる。

山沿いのエルフの隠れ里出身の私としては、こんな高度な科学技術に触れるのは学園に来てからの事であり、初等部の頃は科学というものに面食らったものだ。