「大貴っ…。」

「ぅおっ!!」





気づいたら、大貴に抱きついていた。





階段を急ぎ足で上る人の中で、あたし達は時間が止まったかのように見つめ合う。




ねぇ?

ホントに大貴?



言葉もでないまま、ただ見つめ合う。




「…会いたかった。…春子。」






耳元がささやかれた言葉。


一気に涙が溢れだした。





「ぅぅ~。」


「コラッ、泣かせたって思われるの俺なんだから!なくなって。な?」




階段を上りながら、頭をなでてくれる大貴。




回りの視線が痛かったけど。


ほんとに幸せで。




ただただ、大貴の手をぎゅっと握ることしかできなかった。