――12月24日、クリスマス。




プルルルル―プルルルル―



耳元に鳴り響く呼び出し音。


かけている相手は、この世で一番愛する彼女、春子。





「もしもし?」





明るい声が、また耳に響いた。




『メリークリスマス。』



自然と緩む顔。


春子も、笑っててくれているのかな?

まさか、泣いたりなんてしてないよな?



不安がありつつ、俺は話を進めた。




『ハル、結婚しような?』




クリスマスだから言える、この言葉。


普段なら、絶対に言えない。




「…ぅぅ~。」



受話器から聞こえる、春子の泣き声。


嬉し泣きをすぐするところも、春子のいいところ。



『泣くなって、ばかだなぁ。』


「だって、大貴が…ばかあ~。」





側にいたら、すぐにでも抱きしめて、春子にキスくらいしてやりたい。


できないことを想像して、いつも苛々してしまう俺は、馬鹿なんだと思う。



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