「あたし、大貴が好きなの。仕方ないでしょ?じゃあ、また明日。」




耳元にその言葉を残して、前田は去って行った。


ボーッと見つめてしまう、前田の後ろ姿。




俺がもしアイツと付き合ったら、辛い思いもしないのだろうか…。




『って俺!ダメだろっ!?』




一瞬考えてしまった、前田と俺が並んで歩いている姿。

でもやっぱり、一番好きなのは春子。



春子を考えただけで、胸がいっぱいになる。




『俺には春子しかいねーし。』




廊下の遠くにまだ見える前田にそう呟いて、俺も昇降口へと向かった。




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