『ごめんな?じゃ、俺行くから。』



ガシッ



立ち去ろうとした瞬間、俺の腕を前田がつかんだ。


そして…



チュッ




前田は俺に、キスをした。




『…は?』


「あたしね、大貴が好きみたい。」




ニヤッと笑う前田。


どうすることもできない俺。



前田にキスをされた瞬間、一瞬だけ頭の中が前田だけになった。



春子なんていない、前田だけの世界になった。




『何してんだよっ…、俺には彼女がいるって言ってんだろ。』



自分でも恐ろしい程、声のトーンが低い声。


その声に少しビビりながらも、前田はまだ笑っている。





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