『うわっ!!』





まだ薄暗い部屋。


…なんだ、夢か。

春子を抱きしめられそうだったのに。

夢だったのか…。




ガラガラ――…


窓を開けると、空はまだうっすらと夜が残っている。

消えかけている星たち。


一つだけ大きく輝くのは、今にもなくなりそうな三日月。



なぜか、目からは涙がでてきた。




なんで俺泣いてんだよ?

そんなに春子が好きかよ?

なあ?

俺は、俺がわかんねぇよ…。





『春子…。』




そっと呟いた名前。


あいつは今、俺だけを思っているのだろうか。




俺は、あいつしか思っていないのに。




他の奴のことを思っていたら…


俺はどうするんだろう。




*`