私が呆れ顔でお兄ちゃんを見ていると。
「なんて顔してんだよ。朝から」
そう言って私のおでこにデコピンしてきた。
「…いったぁい!お兄ちゃん力強いんだからやめてよねー!」
私がおでこを擦りながら瞳を潤ませ、ぷくぅと頬を膨らませるとお兄ちゃんが。
「悪い、悪い」
ニヤニヤ笑いながら私の頭を撫でた。
…絶対悪いと思ってない!
「さっ。下行こうぜ」
そう言って私より先に階段を降りていく。
…くっそ~!
お兄ちゃんめ…。
いっつも笑って話を終わらせるんだからぁ。
いつもいつもお兄ちゃんに負けちゃうんだよなぁー。
ため息をつきながら私も階段を降りていく。
…と、リビングからすごくいい匂いがしてきた。
だからおでこの痛みなんて何処かに消えていった。
ダダダッ
っと階段を勢いよく駆け降りていく私。
「咲月おはよ。今日も元気ね」
台所でお皿洗いをしているお母さんがクスクス笑う。
私の瞳から見てもお母さんは綺麗で可愛らしいと思う。
穏やかで、とてもふんわりしているお母さん。
お母さんの作るご飯はとても美味しい。
だからお弁当制の高校に入ったんだ。
家から1番近くてお弁当制の高校はお兄ちゃんと同じ高校しかなかった。
でも朝昼晩お母さんの作ったご飯を食べれるなんて幸せすぎるくらい嬉しい。
「おはよー!お母さん」
私はニコッと微笑んだ。
「咲月は可愛いわね~」
ご飯は美味しいけど…
けっこう親バカ。
「何言ってんの。お母さん」
私は苦笑いで返した。
「親バカだなー。母さんは…」
お兄ちゃんがボソッと呟く。
するとお母さんが、
「海斗は格好いいわよ」
と今度はお兄ちゃんを褒めたお母さん。