「咲月?開けるぞ」
ガチャ
扉の向こうから顔を出したのは…。
「お兄ちゃん!」
「よう!起きてたのか」
「おはよう」
「はよ!」
挨拶を交わす。
「もう大丈夫なのか?」
「うん!」
…たぶん。
今は調子良いし、大丈夫でしょ。
「よしよし!元気で良かった」
くしゃくしゃっと髪を乱された。
「わっ。でもありがと」
「ん?」
首を傾げている。
「心配してくれて!」
微笑むと、お兄ちゃんは「まぁな。大事な妹だし」と言って、ニカッと笑った。
すると、ぎゅるるるるとお腹が鳴った。
「あっ…」
私が慌ててお腹を押さえる。
お兄ちゃんはそんな私を見て微笑した。
「朝飯出来てるから、早く着替えてきな」
「はぁい!」
ガチャ
「じゃ、早くしろよ」
扉の間から顔を出し、微笑んでいた。
「わかってまぁす♪」
ガチャ
私の返事を聞くと、片手を上げて扉を閉めた。
「ん~~!」
と伸びをした。
よしっ!
制服、制服~♪
ベッドから起き、ハンガーに掛かっている制服に手を掛けた。
パジャマを脱ぎ、スカートを履く。
ブラウスを着て、ベストを上から羽織る。
するとベストからいい匂いがする。
…え?
さく、ら?
なんで桜の香りが?
桜の香水なんて持ってない。
じゃあ何で?
昨日、何かあったの?
う~。
思い出せない…。
頭を捻っていると、下から私を呼ぶ声がした。
「咲月ー。遅刻するぞー!」
「は、は~い」
急いで黒の靴下を履いた。
鞄を持って部屋から出る。
勢いよく階段を駆け降りる。
駆け降りた勢いでフワッとまた桜のいい匂いがした。
「おっはよ~」
「おはよ、咲月」
「早くしねーと遅刻すんぞ」
「わかってまぁす!」
そう言いながらお兄ちゃんの隣に座る。